RoMT.

十二夜の、十二人 その② 李そじん(ヴァイオラ)

演出家の田野です。

 

火曜日から沖縄県沖縄市に来ています。

3年ほど前から沖縄でワークショップのお仕事をさせていただくようになって、

毎年毎年実感するのは、「沖縄は冬が良い」、ということ。

もちろん海には入れないし、ほとんど晴れないし、

沖縄のみなさんはふつうにダウン着てる程度に寒くはあるんだけど、

冬の沖縄の何が良いって、乾燥しないこと、ですね。

東京の冬って、乾燥地獄ですからね。。。

冬場は、沖縄に着くたびに「ほっ」とします。

 

えー、さておき。

『十二夜の、十二人』、第2回目です。

 

今回は、、、

 

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ヴァイオラ役の、李そじんさんです。

 

アゴラ劇場が主催する無隣館の第一期生で、現在のところ最も新しい青年団員のひとりです。

 

そじん(・・・と呼んでいるので、そう書きます)とは、

昨年5月のSPIC×RoMT公演『ゴーストシティ』で初めてご一緒して、

今回が2度目のお仕事になります。

 

『ゴーストシティ』では、仙台と東京の俳優計8名と一緒に作品製作をしました。

普段は違う土地で活躍する俳優たちが、交流し、お互いに刺激しあって、

そのなんともいびつで魅力的なケミストリーのなかで作られた作品でした。

 

そして、『十二夜』にむかう前にどうしてもやっておきたかった作品でもありました。

 

先にやることを決めていたのは、『十二夜』のほうだったんですね。実のところ。

『十二夜』に取り組むまでに、どういうステップを踏んで行ったらいいのかを検証して、

相応しいと思えるプロジェクトを考えた結果が『ゴーストシティ』だった、というわけです。

 

なので、『ゴーストシティ』に出てもらった青年団員には、出演依頼の声をかけた段階で、

『十二夜』にも出演してください、と頼んでいたんです。

 

そのひとりが、そじんでした。

 

独特の存在感がある女優さんです。

どんな舞台に立ってても、良い意味で自分のままでいられる感じがします。

“天然っぽい図太さ”、とでもいいましょうか。

 

先日のプレ稽古初日、みんなで本読みをしたわけですが、

休憩中にそじんは言いました。

 

「ヴァイオラって、セリフ多くないですか? 結構ずっとしゃべってますよねぇ」

 

・・・たくましいかぎりです。

 

セリフが多いかどうかは置いておいて、、、ヴァイオラって、すごく難しい役です。

登場している間、ほぼ男装して“シザーリオ”としても生きていて、

でも言葉になるのは、ほとんどが女性としての実感。

そして何が難しいって、

ヴァイオラは自分自身で物語を進められないこと。これに尽きます。

 

ヴァイオラの物語はいつも他者によって動かされていきます。

自分から選び取って発する言葉は、実はとても少ないんですよね。

そして、その他者には、“観客”も含まれます。

ヴァイオラは、常に、観客の共感とともに進んで行かないといけない。

・・・これが、難しい。

 

『ゴーストシティ』のときにそじんに取り組んでもらったのは、

そういう部分だったように思います。結構苦労したんじゃないかなあ。

 

でもそんな『ゴーストシティ』の経験を経て、今度の『十二夜』では、

たぶんかつてあまりみたことのない魅力的なヴァイオラをみせてくれるはず。

 

こちらもぜひ、3月にアトリエ春風舎でご確認くださいませ。

 

 

第2回目は、ヴァイオラを演じる李そじんさんの巻、でした。