【新プロジェクト始動!】RoMT Acting Lab.

新プロジェクト、RoMT Acting Lab.(アクティング・ラボ)の始動をお知らせします。

 

2017年はRoMTにとって、大きな“発見”の年となりました。

 

これまでRoMTは、《語りと共有体験の可能性を追求すること》を最重要ミッションとして掲げて活動を続けてきましたが、今年3月に実施したシェイクスピアの『夏の夜の夢』を経て、演劇における共有体験の前提が、日本と海外(特にイギリス)とで本質的に大きく異なっているのではないか?という問題にたどり着きました。そして、シェイクスピアを含む海外戯曲を扱うにあたって、その本質的な差異を、実際に観客を前にする俳優と、最初の観客でもある演出家がどのように意識できるのかが、極めて重要になると考えます。

 

そしてその差異を具体的に検証するべく、夏に5日間、秋は1日、海外戯曲に特化した俳優向けのワークショップ「音をしゃべる」を実施。観客の多様で豊かな想像を起動するために、あるいは観客ひとりひとりが【聴くこと/共有し知ること/想像すること/物語化すること】を劇空間のなかでそれぞれのやり方で楽しむために、俳優という存在は、どう舞台上で言葉を発し、どう身体を使うことが可能なのか、ディスカッションとフィードバックを繰り返しながら実践する機会を設けました。このワークショップで顕在化・言語化されたことは、今後RoMTとして活動を続けていくにあたり、とても大きな財産になると確信しています。

 

そして「音をしゃべる」ワークショップを経て、痛感したことがもうひとつあります。それは、日本の俳優には、それまで彼ら彼女らが個々に培ってきた圧倒的な演劇的専門性をフルに活用して観客に直接対峙し、言葉を届ける類の舞台経験が不足しているということ。そしてそれに適したテキストが日本の戯曲にはほとんど存在しないということ。日本には独自の対話文化があり、それは現代演劇の礎のひとつにもなっています。しかしながら、日本の現代演劇には“語り”の文化がほとんど存在しません。落語や紙芝居や(ある意味で)歌舞伎のような、圧倒的に独自の語りの文化があるにもかかわらず、です。海外の若い俳優たちは教育課程の中で必ず“モノローグ”の技術を磨きます。オーディションでは必ずと言っていいほどモノローグの課題がありますし、モノローグだけを集めた書籍も山のようにあります。ピーター・ブルックの『何もない空間』を引用するまでもなく、それがもっともダイレクトで本質的な、俳優と観客のつながりを実感するものだからです。

 

演劇の俳優にしか成し得ない語りの形があるのです。しかしそれを体験する機会が日本にはあまりにも少ない。それをワークショップの形である種気軽にお試し的に体験してみる機会も必要だけれども、やはり小規模であったとしても、公演として実際の観客を目の前にして実践することから学ぶこととは、何百倍もの差があります。

 

そこで、もっともっとたくさんの日本の俳優のみなさんが、演劇ならではの “語り”のあり方をもっと身近にしかし切実に体験し、技術化することを目的とした新しいプロジェクトを、私たちRoMTは始めることにしました。

 

それが、RoMT Acting Lab.(アクティング・ラボ)プロジェクトです。

 

その最初の公演に参加を希望するプロの俳優のみなさんを、オーディションの形で募りたいと思います。

 

田野